退職金に社会保険料控除や扶養控除は適用されるか?
退職時に会社に「退職所得の受給に関する申告書」の提出している場合、会社で退職所得控除等を精算し源泉徴収で税額を引いて振り込まれています。
このため、基本「退職所得」の確定申告を行う必要はありませんが、「退職所得」で源泉徴収された税金が有る場合は各種控除(社会保険料控除や扶養控除を含む)の申請を確定申告することで税金が還付される可能性があります。
確定申告で各種控除等で退職金の源泉徴収分(所得税+住民税)を還付して貰う
「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合の源泉徴収額と退職金
退職時に会社に「退職所得の受給に関する申告書」の提出をしている場合、下記のように勤続年数により退職所得控除が差し引かれた所得に対して源泉徴収されます。
以下の例では7.5万円が源泉徴収(所得税+住民税)として徴収され、残金992.5万が口座に退職金として振り込まれています。
※1:課税退職所得
(1000万-900万)X 1/2 = 50万円
※2:源泉徴収額
所得税+復興特別所得税
50万 X 0.05 + (50万 X 0.05 X 0.021) = 25052円(1円未満は切り捨て)
住民税
50万 X 0.1 = 50000円
源泉徴収額
25052円 + 50000円 = 75052円
確定申告で社会保険料控除や扶養控除で源泉徴収分を還付して貰う
退職後に健康保険料(任意継続、国民健康保険)や国民年金等を支払った場合は、確定申告で社会保険料控除を申請することで退職金で源泉徴収した税額が戻って来る可能性があります。
また、退職時期により会社で年末調整していない場合、扶養控除や生命保険料控除等を確定申告することで退職金で源泉徴収した税額が戻って来る可能性があります。
以下の例では退職所得や給与所得よりも確定申告で申請した社会保険料控除や扶養控除の額が上回ったため、「退職所得」で源泉徴収された税金7.5万が還付されます。
なお源泉徴収分を還付して貰うには確定申告で退職所得についても、再度申告する必要があります。
※3:給与所得控除、退職所得控除を引いた後の所得金額
※4:総合課税内で控除しきれない所得があった場合、分離課税の所得からも控除される。
従って上記の場合は、退職所得についても控除され控除後の所得は0円となる。
150万-186万=0(マイナスになるため0)
※5:税金の還付
源泉徴収で納税済みであった税金(7.5万円)が、確定申告で所得0円(税額0円)となったため、全額還付される。
総合課税内で控除しきれない所得がある場合、分離課税の所得から控除される順番
総合課税内で控除しきれない所得がある場合、分離課税の所得から控除されますが、控除される順番が決まっています。
分離課税の各所得金額(68~77欄)から順次控除され、引ききれなかった控除額が残った場合に退職所得金額(78欄)から差し引かれます。